【水出しアイスティー】どんなお茶が向いてる?作り方は?専門家が解説 | MATRA

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【水出しアイスティー】どんなお茶が向いてる?作り方は?専門家が解説

#インド#プロが教える#作り方#究極のチャイ

アイスティー

はじめに

低温でじっくり抽出する冷たいお茶は、甘みが豊かで渋みが少なく、すっきりしたのど越しで暑さを忘れさせてくれます。

大手専門店のバイヤーとして、自分の事業として、世界中のお茶を20年にわたって見続けてきた専門家が、意外と知られていない水出しアイスティーの基本から、どんなお茶にも応用できる極意までしっかりと解説。

みなさんが飲みたいお茶を、飲みたい時に楽しめるようにお手伝いします。

2つの作り方

アイスティーを作るには ①水出し ②急冷式 の、2つの作り方があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、特徴をつかんでおくと、シチュエーションやお茶に合わせて自分で選べるようになるので便利ですよ。

①「水出し」

今回ご紹介する方法です。
時間はかかりますが、水でゆっくり抽出するので落ち着いて作ることができます。

メリット:作り方が簡単、すっきりまろやかな味になる
デメリット:時間がかかる(30分~8時間)、香りや飲みごたえが出にくい

②急冷式

お湯で抽出してから氷で一気に冷やす方法です。
少しテクニックが必要ですが、短時間で作れてお茶の香りと飲みごたえを出せます。

こちらは別の記事であらためて詳しくご紹介しますね。
アイスミルクティーを作りたい時にもおすすめです!


水出しできるお茶とできないお茶がある?

コーヒーや麦茶でおなじみの「水出し」ですが、パッケージに「水出し用」と書かれているものじゃないと水出しにできないのかな?と思ってしまいますよね。

意外と知られていませんが、実はお茶と名の付くものはほぼ全て(※)水出しできます。

紅茶も緑茶も、ウーロン茶も、パッケージに「水出し」と書いていなくてもちゃんと水出しアイスティーが作れます。

後で解説するように、もちろん味の好みとして向いている・向いていないはありますが、みなさんが普段の生活で出会うお茶は、基本的にどれも水出しができるので、「やってみたいな!」と思ったら気軽に挑戦してみることをおすすめします。

※「水出し可能といえないもの」は唯一、長期保存を前提にしたプーアル茶類(表面の雑菌や埃を、最初にお湯で洗い流す必要があるため)くらいです。ただし、プーアル茶でも方法次第では水出しにすることも可能です。

水出しアイスティーの特徴

特徴1:フレッシュなみずみずしい風味を出せる

お茶は植物を乾燥させたものなので、実は熱に弱い性質をもっています。

熱によってすぐに揮発してしまう青々とした軽やかな香りや、緑茶などの鮮やかな緑色などはその代表で、お湯でお茶をいれた時には蒸らしている間に無くなってしまったり、変化してしまう成分がたくさんあります。

最初から最後まで低温で抽出できる水出しには、この熱で失われてしまうお茶が植物として持つ新鮮さ、みずみずしさを残したまま楽しめるという、他にはない特徴があります。

特徴2:渋み・雑味を抑えられる

水で抽出することで、高温下で多く出てくる「渋み」の素、タンニン類(緑茶のカテキン類や紅茶のテアフラビンなどの成分)や、お湯で出すぎてしまう雑味の抽出を抑えることができます。
水出しで作るアイスティーは、どれも共通して口当たりが滑らかになります。

特徴3:リラックス効果が高い

お茶の「甘み・うまみ」の素、テアニンなどのアミノ酸類は低温下でもしっかり抽出されるので、渋みや雑味を抑えてすっきりと、甘み・うまみを中心にした優しい癒し系の風味を味わえ、リラックス効果が高い、これが水出しの最大の特徴ともいえます。

特徴4:作り方が簡単で失敗が少ない

分量と時間を守れば誰でも同じように作れるので、安心してチャレンジできます。

特徴5:時間をかけてじっくり抽出

低い温度で優しくで抽出する分、お湯で出すよりも長く時間がかかります。
お茶の種類によってその時間が変わるので、後で詳しく解説します。
紅茶の多くは8時間ほど、緑茶なら種類によっては最短30分で作れるものもあります。

特徴6:コクや飲みごたえ、香りは弱め

低温だと、長い時間をかけてもあまり抽出できない成分があります。
特徴2で述べたような渋みやコクの素になるタンニン類は少なめになるため、飲みごたえを出したり、アイスミルクティーを作りたい時にはあまり向いているとはいえません。

また、新鮮さは保たれるのですが、熱湯でいれた時のパッと広がる香りはどうしても弱くなります。
逆に、アールグレイやフルーツなどの香りが付加されたフレーバードティーの場合は新鮮さが強調されて熱湯の場合よりも香りが分かりやすくなることがあります。

水出しアイスティーの作り方

シンプルな3ステップです。

STEP1:茶葉に水を注ぐ
STEP2:冷蔵庫にいれておく 
STEP3:時間がたったら茶葉を取りのぞいて、完成!

茶葉と水の割合

 茶葉1g:水100ml 

ここは全部共通なので、ぜひ覚えておいてください。
例えば1ℓのアイスティーを作りたければ、茶葉は10gです。
2ℓなら単純に2倍の20g、500mlなら半分の5gとなります。

時間

紅茶8時間

紅茶は成分の抽出がゆっくりなので、しっかりと時間をとりましょう。
8時間の前後2-3時間くらいでしたらそれほど風味は変化しません。


緑茶(日本茶など):1~2時間

特に煎茶など日本の緑茶は、成分の抽出が早いので長くいれすぎないように注意しましょう。

細かな茶葉が多い深蒸し茶の場合は最短30分、長くても1~2時間ぐらいで十分な濃さが出ます。
茶葉を取り除く際に、しっかり振ったりかき混ぜたりして粉を残した方が、抹茶のようなきれいな緑色の濁りと飲みごたえを出せます。

ウーロン茶、ハーブティー3~4時間

紅茶と緑茶の中間になります。
台湾茶や鉄観音のように固く丸まったタイプのウーロン茶の場合は、お水だけだと少し風味が出ずらい場合があるので、水を入れる前に茶葉が浸る程度にお湯を少しだけ入れてから、お水を注ぐのがおすすめです。
茶葉が細長いタイプのウーロン茶は、そのまま水を入れれば大丈夫です。

ハーブティーは様々なタイプがありますので、まずは3-4時間で試してみるのがおすすめです。

容器の選び方

容器は茶こし付きのボトルティーバッグが便利ですが、茶葉が十分に開かず淡白な味になることが多いので、ボトルはなるべく2つ用意して、茶葉は茶こしに入れず、出来上がったら移し替えながら茶こし等で茶葉を取り除くようにするのがおすすめです。

水の選び方

お茶は、水のおいしさがそのまま風味に現れるので、日本の一般的なミネラルウォーターが一番おすすめです。
浄水器のお水に比べて、明らかに感動レベルが上がりますのでぜひ試してみてください。

温泉水など特殊な成分のものや、硬度の高い海外のお水は風味が変わるので避けた方がよいでしょう。

 

水出しアイスティーにおすすめのお茶

①日本茶(煎茶・ほうじ茶・和紅茶)

日本の煎茶は、熱湯による成分変化や揮発の影響を受けやすいので、水出しにするとその繊細でフレッシュな風味を存分に味わえます。


また、海外のお茶にくらべて肥料を豊富に与えて育てる傾向があり、水出しでも抽出されやすいアミノ酸などの旨み成分を多く含んでいます。
また、蒸してお茶を作る製法も、成分抽出が早まるため短時間で水出しアイスティーを作ることができとても相性の良いお茶です。

特に茶葉が粉々になっている「深蒸し茶」は早いもので30分くらいの抽出でもしっかりと味が出て、色合いも濃く、水出しに不足しがちな飲みごたえもしっかりと感じられるので特におすすめです。

また、ほうじ茶や和紅茶もしっかりと甘みを感じられるものが多く、水出しとの相性が良好です。
ただし、和紅茶は煎茶などよりも抽出がゆっくりなので紅茶の抽出時間と同じ、8時間ほどをおすすめします。

②ダージリン紅茶

インドのダージリン地方で作られるダージリン紅茶は、その香り高さで世界的に有名な銘柄ですが、他の紅茶に比べてとても繊細な風味をもっており、水出しとの相性が良好です。

特に毎年3月~4月に摘まれるファーストフラッシュ(春摘み)は緑茶と紅茶の中間のようなグリーンで若々しいテイストを持ち、水出しにするとその香り高さ、味わいのフルーティーさを存分に楽しむことができます。

③茶葉の丸まっていない香ばしいウーロン茶

中国茶の一種であるウーロン茶は、高い温度でいれることを想定して何度も揉み込まれ、しっかりと乾燥して作られているので熱湯にはとても強いのですが、茶葉が丸まっていない、焙煎がしっかりと効いたタイプのお茶は比較的抽出が早く、甘みを感じやすい性質があるので水出しにもおすすめです。

適度な飲みごたえも出て、麦茶のような感覚でごくごく楽しめるアイスティーができます。
価格はあまり高価でないものがおすすめです。

④アールグレイなどのフレーバードティー

香りが付加されている、アールグレイやジャスミン茶、アップルティーなどのフレーバードティーや、花などがブレンドされたお茶は、水出しに不足しがちな華やかなアロマを補ってくれるのでおすすめです。

お茶の香りというよりフレーバーそのものの香りがピュアに感じられ、渋みは少なく、すっきりとしたお茶の甘みが引き出されて、まるでジュースのような風味になることが多く、新しいお茶の味わいを体験できます。


この記事の著者

中村 文聡

東京・目黒区の碑文谷にある、MATRA tea atelier(マトラ ティーアトリエ)主宰。1980年12月16日生まれ。連続する日常からふわっと浮き上がるようなお茶の力が人を豊かにすると感じてお茶の世界に飛び込み、15年間、大手お茶専門店でバイヤーとして世界中を飛び回って、各地の自然、生産者の想いを知る。
2022年、世界のお茶をもっと身近にするため独立。
圧倒的な自然や、卓越した人の想いがつくるすばらしい「お茶」と出会うとき、人は何かを感じ、驚き、感動します。言葉には表せないその心の動き、その先には出会った人それぞれの変化が生まれイメージが広がる。そんなシーンをできるだけ多く作ることが私の目標です。

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